そのチンキ、本当に化粧水に使っても大丈夫?
最近よく、いただく質問があります。
「チンキを化粧水にして使っても大丈夫ですか?」
ハーブで作るスキンケア製品は、一見すると、自然のもので作るから安心そうに思えます。
ですが、なぜかこの「安全であるはず」のハーブ化粧品で肌トラブルが起きることも少なくないのです。
チンキ化粧水で得られたものは「おでこのしわ」だった
私は、ハーブ講師という仕事柄、色々なクラフトを日々試しています。
その中でも、私の記憶に残っているのが「チンキの化粧水」。
ハーブクラフトの本を開いて、ワクワクしながら作ったのを覚えています。
ですが、使えば使うほど「肌触りがおかしい」。なんだか硬くてゴワゴワした感触なんです。
鏡でよく見てみると、肌に細かいヒビができていて、肌の異変がはっきりと分かりました。
でも、「ハーブは自然のものだから良いに違いない」と信じ続けて、1ヶ月使い続けたんです。
結果、1ヶ月前はなかった「おでこのシワ」が新たにできてしまうという、最悪の結果に終わりました。
本を見て作ったはずなのに、おかしい。
私ははじめ、チンキ化粧水以外の原因があるのではないかと必死で考えました。
本に書いてあったレシピですし、私は、市販の強めの化粧品を使っても肌荒れしない「強い肌を持つタイプ」です。
なのに、そんな私でも肌トラブルを起こす方法を載せるなんてことはあるのか?と、信じていませんでした。
ですが、それから色々と調べたり、実際に使った人に話を聞いたりしたところ、チンキ化粧水の様々なリスクに気付きました。
チンキ化粧水に潜むリスク
チンキ化粧水に潜むリスクは、結論からお話しすると「アルコール濃度の高さ」です。
市販の化粧水に含まれるアルコールは、ごく少量に調整されていて、多くても1〜2%程度に抑えられています。
ですが、チンキ化粧水の場合。
私が持っている本のレシピを参考にしてみると、
40%のアルコールで浸けたチンキ3mlを、精製水27mlに混ぜた場合──
アルコール濃度はおよそ4%前後に。
数字だけ見ても、明らかに市販品より高いことが分かります。
アルコールは揮発性が高いため、一時的にスッとする感覚を与えますが、
その裏側では肌の水分を奪い、乾燥を招きやすくなります。
乾燥が続くとバリア機能が弱まり、赤み・かゆみなどのトラブルに加えて、
肌の老化やエイジングの原因にもつながりやすいのです。
つまり「自然のものだから安心」と思っていても、
濃度や使い方を誤れば、かえって肌を傷めてしまうリスクがあるんです。
チンキはスキンケア研究でもめったに使われない
ハーブの効能について日々様々な研究が行われていますが、ハーブのスキンケア効果の研究を見ると、ハーブチンキを使っている研究はめったに見かけません。
これは、「アルコール濃度・ハーブの種類・抽出条件」の統一のためにチンキが用いられないという理由もありますが、
高濃度アルコールによる肌への影響を考えると、「毎日使う化粧水」としては不向きだと考えられているから
という理由もあるんです。
そもそも、スキンケア製品として流通させるには、刺激性や保存性、安全性のテストが必須。ですがチンキは、それらの基準を満たしにくいので、研究対象としても避けられる傾向があるんです。
本来のハーブ療法でのチンキの使い方
では、ハーブ療法ではチンキを肌に使うことはないのかというと、そんなことはありません。
ハーブ療法でも、肌のケアにチンキは使われます。
ですが、その使い方は、
「局所的に・短期間」が基本。
たとえば、10分ほどの湿布やパックなど、ピンポイントでのケアになります。
「毎日の化粧水」としてバシャバシャ使う方法は、私がアメリカでハーブ療法を習った限りでは見かけない方法でした。
本やネットの情報に潜む落とし穴
本やSNSには「手作り化粧水」として紹介されているレシピもたくさんあります。
チンキはそれだけ、価値のあるハーブ製剤なんです。
ですが、「どんなふうに使うか」によって、メリットにもなる反面、リスクにもなります。
だからこそ、ハーブを正しく学び、安心して日常に取り入れることが大切なんです。
本やネットの断片的な知識だけでは、チンキ化粧水のような誤解が生まれやすいです。
背景や理由を含めて学ぶことで、はじめて「安全に役立てられるハーブの力」になります。
今、まさにそのための講座を思案中です。
必要なタイミングでしたら、今後の発信を楽しみにしていただけたらうれしいです。
正しい知識を持って、自分や家族のためにハーブを活かせる人が増えていくことを願っています。
SNSでは学べないハーブの話やハーブの講座のご案内を配信しています