レモンバームの効能|乾燥・生での効能の違い、相性の悪い組み合わせは?
この記事でわかること
・レモンバームの7つの効能
・乾燥葉と生葉の効能の違い・味の違い
・レモンバームに合う/合わない食材やハーブ
・レモンバームに向いている/向いていない使い方
「植えた覚えがないのに勝手に庭に生えてくる」
そんな話もよく聞くほど生命力の強いレモンバームは、万能薬として昔から使われてきたハーブです。この記事ではレモンバームの効能だけではなく、強い効能を得るにはどうしたら良いのかというところまで掘り下げてお伝えしていきます。
目次
1 レモンバームは「ハート」のハーブ?
2 レモンバームのうれしい効能7つ
3 レモンバームにはどんな成分が入っているの?
4 レモンバームの乾燥葉・生葉の違い
5 レモンバームと相性の良い/悪い組み合わせ
6 レモンバームに向いている/向いていない使い方
7 レモンバームの副作用・禁忌・注意点
8 さいごに
レモンバームは「ハート」のハーブ?
レモンバームは「ハートのハーブ」と呼ばれています。
そのように呼ばれるのには、2つの理由があります。
レモンバームはなぜ「ハートのハーブ」?
・葉の形がハートだから
・心臓の不調に良いとされているハーブだから
ハートの葉を持つ愛らしいハーブ
レモンバームの葉は「ハート型」をしています。
葉を真上から見ると卵型なのですが、横から見るとハートの形になっています。下の写真でお分かりになりますでしょうか?
ハートの葉を持つレモンバームには、見た目通りに、心臓や心(=ハート)の不調を癒す効能があります。
心臓や心を癒すハーブ
レモンバームには血圧や血糖値を正常な数値に近づける作用があるため、心臓の健康維持に効果的です。[1]
心への効能としては、落ち込んだときやストレスを感じたときに、レモンバームが気持ちを明るくしてくれるとされています。[2] [3]
心臓への効果
・血圧を下げ、心拍を正常にする
・血糖値を改善する
心への効果
・気分を明るく陽気にしてくれる
・元気を取り戻す
レモンバームのうれしい効能7つ
レモンバームには次のような症状を改善する効果があるとされています。
レモンバームがおすすめの症状
・風邪の初期症状
・悲しみ、落ち込み、憂うつな気分
・子供の落ち着きのなさ
・虚弱体質
・消化不良や胸やけ
・胃腸の痛み
・パニック症候群
レモンバームは栄養価の高いハーブです。ビタミンやカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムを豊富に含んでいます。
神経を落ち着かせるレモンバームの作用は、風邪の初期症状や胃腸の痛みを和らげる効果があります。
レモンバームが特に優れているのは心への効果です。安全な抗うつ薬・抗不安薬として世界で広く活用されています。レモンバームは心を明るくする効果があることから、「喜びのハーブ」とも呼ばれています。
レモンバームにはどんな成分が入っているの?
レモンバームには、ビタミン・ミネラルなどの栄養素のほかにも、たくさんの有効成分が含まれています。
その中でも代表的な4つの成分と効能は次の通りです。
タンニン
がんの発生リスクを低下させる作用、コレステロール値を低下させる作用、血圧を下げる作用
フラボノイド
抗酸化作用、デトックス効果、アンチエイジング効果、血液サラサラ効果
ロスマリン酸
抗酸化作用、アレルギー症状を抑える作用
レモンバームの乾燥葉・生葉の違い
「レモンバームは採りたての方が効果が強いの?」
「乾燥させると効能はどう変わるの?」
レモンバームを使っていると気になるのが、乾燥葉と生葉の効能の違いですよね。
結論から言うと、乾燥させても生の状態でも、基本的な効能は同じです。
しかしながら、強くなる効能、弱くなる効能はあります。
生葉(フレッシュレモンバーム)
リラックス効果が強い反面、薬用効果は乾燥葉よりも弱くなる傾向があります。
味は爽やかであっさりと飲みやすいです。
乾燥葉(ドライレモンバーム)
薬用効果が強くなる傾向にあります。リラックス効果は多少弱まる可能性があります。
味は濃くてまろやか、コクのあるレモンの香りがします。
リラックス効果の違い
「アロマセラピー」がリラックスに使われていることでもわかるように、ハーブの香りにはリラックス効果があります。
レモンバームもそれは同じで、香りにリラックス効果のある成分がたっぷりと含まれています。
レモンバームの香り(=リラックス効果)が一番強いのは、収穫したてのものです。
一方ハーブを乾燥させると、どうしても乾燥の工程で水分と一緒にレモンバームの香り成分が揮発してしまいます。つまり、リラックス効果は生葉に劣る可能性があります。
とはいえ、乾燥させたレモンバームにもしっかりとリラックス効果があるので、心配するほどの大きな違いではありません。
薬用効果の違い
レモンバームを乾燥させると、水分が抜けて有効成分が凝縮されます。いったん凝縮されたレモンバームの有効成分は、硬い葉の中で守られるので、強いままの効能を保つことができます。
一方、収穫したてのレモンバームは、はじめこそ効能が強いものの、時間と共にどんどん劣化していき、効能も弱くなっていきます。
収穫したての強い効能をそのまま保つためには、収穫したらすぐにお茶を作って飲んでしまうか、すぐに乾燥させてしまうのがおすすめです。
Tips レモンバーム・レモングラス・レモンバーベナは同じハーブ?
レモンバーム・レモングラス・レモンバーベナはすべて名前が似ています。これらはハーブティーの味も似ているのですが、実は3つとも植物の分類が異なる全く別のハーブです。ちなみに、レモンバーム(シソ科)、レモングラス(イネ科)、レモンバーベナ(クマツヅラ科)です。
レモンバームと相性の良い/悪い組み合わせ
レモンバームティーを飲むときにブレンドすると良いもの、悪いものをご紹介します。
レモンバームと相性の良い組み合わせ
味を良くするには
柑橘類フルーツ(皮・ドライフルーツもOK)、ジャム
美肌・アンチエイジングには
ローズヒップ、ハイビスカス、ローズマリー
うつ気味の人は
ローズ、カルダモン、ホーリーバジル
パニック障害の人は
セントジョンズワート、カモミール、スカルキャップ
頭痛には
キャットニップ、リンデン、カモミール
腹痛には
ダンデライオンルート、カレンデュラ、フェンネル
レモンバームと相性の悪い組み合わせ
レモンバームと合わせてはいけないとされている食材やハーブはありません。
レモンバームは味の良いハーブのため、様々なティーブレンドの味を整えるために使われています。
ぜひ気兼ねなく色々なハーブと組み合わせてみてくださいね。
レモンバームの向いている/向いていない使い方
レモンバームには、向いている使い方と向いていない使い方があります。
向いている使い方をすれば、レモンバームがよりおいしく、効能を損なうことなく摂取することができます。
向いている使い方
ハーブティー/アイスハーブティー
レモンバームはおいしいハーブティーとして有名です。まだ飲んだことがない方はぜひ一度お試しください。
<1杯あたりのレモンバームの適量>
・ドライ:小さじ1杯
・フレッシュ:大さじ1杯
関連記事 ハーブティーの作り方まとめ
ハーブバス
レモンの爽やか香りのレモンバームは、リラックスバスにもぴったりです。
<1回あたりのレモンバームの適量>
・ドライ:大さじ2~
・フレッシュ:ひとつかみ~
関連記事 ハーブバスの作り方
料理
レモンバームは料理にも使うことができます。ミントと同じグループのハーブなので、ミントと使い方もほぼ同じです。レシピで「ミント」の文字を見たらレモンバームに置き換えて作ってみましょう。
<レモンバームに合う料理>
サラダ/卵料理/ソースの香り付け/ゼリー/ワイン漬けなど
向いていない使い方
ブーケガルニには向いていない
ミントと同様に香りの持続力が弱いため、レモンバームをブーケガルニ(スープのだし)にするのはおすすめしません。
スープと一緒に長時間煮込むと、ただただレモンバームの苦味だけがスープに移ってしまいます。
生葉はオーブン焼きに向いていない
もともと香りの飛びやすいレモンバーム。生葉だとさらに香りが飛ぶのは早くなります。
じっくり焼く「オーブン焼き」のような料理にレモンバームを使うなら、乾燥葉の方が向いています。生葉を使っても香りが全く付かないので、加える意味がありません。
大量に使うと青臭くなる
レモンバームの香りが飛びやすいからと言って、大量に使うのも良くありません。
レモンバームは、大量になればなるほど青臭さが増していきます。
料理にはいつも適量(小さじ1~大さじ1)を使い、高温で一気に香りを引き出すようにするとうまくいきます。
大量摂取は健康を害する可能性もあるのでご注意ください。
<レモンバームの適量>
・ドライ:1日あたり小さじ山盛り3杯
・フレッシュ:1日あたり大さじ山盛り3杯
レモンバームの副作用・禁忌・注意点
レモンバームは禁忌のない安全性の高いハーブです。しかしながら、いくつかの注意点があります。
甲状腺機能低下症になる可能性
レモンバームを長期間にわたって摂り続けると「甲状腺機能低下症」という病気になる可能性が指摘されています。
とはいえ、甲状腺機能低下症は日本人にはあまり心配のいらないことだと思います。
なぜなら、日本人は日頃から、ワカメや海苔などから多すぎるほどのヨウ素を摂取しているからです。甲状腺機能低下症は、ヨウ素を補うことで避けることができると言われています。
妊娠中・授乳中の摂取の危険性
レモンバームは一般的に、妊娠中・授乳中の摂取の危険性がないハーブだとされています。
しかしながら、レモンバームの妊娠中・授乳中の影響についてはまだまだ研究途中です。つまり、今の科学ではレモンバームで何が起こるのかは分からない状況です。
念のために、妊娠中・授乳中にはレモンバームを避けておくのが安全です。
子供への使用
レモンバームは、子供への自然の風邪薬として人気です。
基本的には子供にも安全なハーブだとされています。ただし6か月以下の乳児には与えないこと、適量を守ることをお忘れなく。そしてこちらも100%安全ということはないので、十分に注意して与えてください。
お子さんへのハーブティーの摂取量はこちらの記事が参考になります。
ハーブティーの摂取量 早わかり表
薬との併用
「レモンバームは血圧や血糖値を正常値に戻す可能性がある」と言われていますが、血圧や血糖値に不安のある方は、レモンバームの摂取に注意が必要です。
治療薬と併用しないこと
レモンバームだけで治そうとしないこと(手遅れになる可能性があります)
主治医に相談しつつ、適切にレモンバームを摂取するようおすすめします。
さいごに
「ハートのハーブ」のレモンバーム。
私は、子供と自分の自然の風邪薬として活用しています。
レモンバームティーは味がおいしい上に、万能薬とまで言われるほどの効能を持っています。
昔の人たちは、ドライレモンバームをいつも薬箱に常備していたのだとか。
もしあなたが毎日のハーブティー選びに迷っているなら、レモンバームにすることを強くおすすめします。
参考文献
[1] 『医学典範』イブン・シーナー
[2] Anti-diabetic effects of lemon balm ( Melissa officinalis) essential oil on glucose- and lipid-regulating enzymes in type 2 diabetic mice(2型糖尿病マウスのグルコースおよび脂質調節酵素に対するレモンバーム(Melissaofficinalis)エッセンシャルオイルの抗糖尿病効果)
[3] The effects of melissa officinalis on echocardiography, exercise test, serum biomarkers, and blood pressure in patients with chronic stable angina(慢性安定狭心症患者の心エコー検査、運動テスト、血清バイオマーカー、および血圧に対するメリッサオフィシナリスの効果)