これで完璧!煮沸消毒の方法|保存瓶を確実に滅菌するには?
ハーブを育てている方なら一度は「ハーブシロップ」や「ハーブオイル」などのハーブクラフトに挑戦したことがあるのではないでしょうか。
しかしながら、ハーブクラフトを作るのにはたっぷりと時間をかけるのに、保存瓶の消毒は面倒でスキップしてしまうという方が多いようです。
実は、保存瓶の消毒は、ハーブクラフト作りの中でもっとも大切な作業です。
消毒していない保存瓶を使ってしまうと、せっかく作ったハーブクラフトが台無しになります。カビが生えたり、食中毒の原因菌が発生したりと、思わぬトラブルを招く可能性があるのです。
安全にハーブクラフトを楽しむためには欠かせない「煮沸消毒の方法」をぜひこの記事でマスターしてくださいね。
目次
01| 煮沸消毒のやり方
02| 煮沸消毒の効果
03| 煮沸消毒をしないとどうなる?
04| 煮沸消毒の注意点
05| 煮沸消毒をすればギフトにも使える
煮沸消毒のやり方
まずは、レシピの流れを確認してみましょう。
Quick Recipe レシピの流れ
1 瓶とふたを食器用洗剤で洗う。
2 鍋を用意する。鍋に瓶とふた、あればゴムパッキンも入れて、瓶がかぶるくらいまで水を注ぐ。
3 火をつけて沸騰させる。
4 沸騰してから2分後に、ゴムパッキンをトングで取り出す。清潔なふきんの上に置く。
5 沸騰してから10分後に瓶をトングで取り出す。ふきんの上に口を下にして置く。
6 自然乾燥させたら消毒完了。24時間以内に瓶を使用する。
煮沸消毒が一番良い理由
保存瓶の消毒には、「煮沸消毒」「電子レンジでの消毒」「オーブンでの消毒」「アルコールでの消毒」など、様々な方法が存在します。
これらの方法の中で、私がおすすめするのは「煮沸消毒」です。
なぜなら、コストがかからない上に、滅菌効果が高い方法だからです。
たとえば、手軽に行える「電子レンジでの消毒」ですが、消毒効果が弱いので長期保存のハーブクラフトには不向きです。他には「オーブンでの消毒」もありますが、瓶が割れることがあるのでリスクがあります。
近頃人気の「アルコールでの消毒」はコストがかかりますが、鍋に入らないほどの大きい瓶を消毒したい場合に用いると便利です。
瓶がさほど大きなサイズではないという場合には、まずは煮沸消毒に挑戦してみましょう。
準備するもの
瓶
保存瓶は、金属のふたが付いたものがおすすめです。金属は熱に強いので、ふたまでしっかりと消毒することができます。
プラスチック製のふたは密閉性が低い上に煮沸で劣化するので避けましょう。
鍋
鍋は、保存瓶がすっぽりと入るサイズのものをご用意ください。
瓶を入れたときに、鍋の深さに3~4cm以上の余裕があるものなら、吹きこぼれを気にせずに煮沸することができます。
ふきん
ふきんは、消毒が終わった瓶を乗せて自然乾燥させために使います。
瓶の口が直接つくので、清潔なものを用意しましょう。ふきんがない場合にはキッチンペーパーで代用することもできます。
トング
消毒が終了した瓶を取り出すのに使います。
トングは消毒をしておく必要はありませんが、食器用洗剤で洗った清潔なものを使用します。
鍋つかみ(省略可)
鍋つかみは無くても構いませんが、あると便利です。
鍋つかみがあれば、消毒した瓶をトングで取り出すときに手で支えることができます。瓶を落として割ってしまう心配がありません。
滑りにくいシリコン製のものが便利です。(100円ショップで手に入れることができます)
煮沸消毒の詳しい手順
01 予洗いをする
煮沸消毒をする前に、瓶とふたを食器用洗剤で洗いよくすすぎます。
瓶の口が狭い場合には、瓶洗い専用のブラシを使ったり、スプレータイプの食器用洗剤(キュキュット泡スプレーなど)を使ったりすると便利です。
予洗いは、煮沸消毒では落ちない皮脂汚れやほこりを取り除くために行います。新品の瓶でも店に並ぶまでに大勢の人が触っているので、しっかりと汚れを落としておきましょう。
02 鍋に瓶と水を入れる
鍋に瓶を入れます。ふたやゴムパッキンは浮いてこないように、瓶の下に挟み込みます。瓶が完全に浸る量の水を注ぎます。
瓶が2つ以上ある場合には、瓶同士がぶつからないように、瓶と瓶の間にふきんを挟んでおくこともできます。その場合には、無着色の洗濯済のふきんをご使用ください。
03 沸騰させる
鍋を中火にかけて、沸騰したら中弱火~弱火にします。ときどき火加減を調節して、沸騰した状態を保ち続けるようにします。
強すぎず、弱すぎず、中程度の沸騰を保つようにします。沸騰が弱すぎると消毒効果が弱くなり、強く沸騰させすぎると瓶同士が当たって傷がついたり、ふたやパッキンが劣化します。
04 ふたを取り出す
沸騰してから2分後に、ふた(内側にゴムがついているもの)とゴムパッキンを取り出します。ふきんを広げて、取り出したふたを置きます。
ゴムは煮沸によって劣化するので、早めに取り出します。ふたが金属のみでできている場合には、この工程はスキップしてください。
05 10分後に火を止める
沸騰してから10分後(ふたを取り出してから8分後)に火を止めます。
06 瓶を取り出す
トングを使って瓶を取り出します。
瓶の中にはお湯が入っているので結構な重さがあります。ゆっくりと、落とさないように取り出しましょう。
鍋つかみを使って片手で支えながら取り出すと安全です。(素手で行うと火傷の恐れがあります)
瓶を取り出すときに、トングや鍋つかみで瓶の中(内側)に触れると滅菌効果がなくなりますので、必ず瓶の外側だけをつかむようにします。
07 乾燥させる
取り出した瓶は、口を下にしてふきんの上に置きます。
このまま自然乾燥させます。熱々なので、乾燥まではさほど時間はかからないはずです。
完全に乾燥したことを確認したら消毒完了です。使う直前までふたを閉めて保管しておきます。
煮沸消毒の効果
煮沸消毒の滅菌効果は24時間続くと言われています。
とはいえ、煮沸消毒をしても100%の滅菌にはならないので、なるべく早く瓶を使うようにしましょう。
また、季節やレシピに合わせて臨機応変に対応していくこともできます。参考として、私が行っている方法をご紹介します。
煮沸消毒のコツ
ふたやパッキンは2分しか煮沸していないため、滅菌効果は弱めです。ハーブクラフトはなるべく「ふた」につけないように保存しています(むやみに瓶を振ったり横にして保存したりしない)
ハーブシロップの場合は、シロップ作りと同時進行で瓶を煮沸消毒して、シロップが完成したらすぐに瓶に保存しています。シロップの材料にはたくさんの水が含まれているので、瓶の完全乾燥にこだわる必要はないと考えています。
自然乾燥を早く終えたい場合には、食器乾燥機を使うこともあります(多少、滅菌効果が低下するかもしれません)
ハーブシロップにはもともとたくさんの水が入っているので、瓶が完全に乾燥していなくても影響は少ないと思います。
ただし、ハーブオイルは別です。オイルに水滴が入ると劣化の原因になるので、時間がかかっても完全に乾燥させましょう。
煮沸消毒をしないとどうなる?
煮沸消毒をしていない瓶でハーブシロップやハーブオイルを保存すると、食中毒の危険性を高めることになります。
瓶の消毒を省略してしまうとどうなる?
ハーブシロップの場合:1週間ほどでカビが生えてきます(目に見えないカビもあるので知らずに食べてしまう可能性があります)
ハーブオイルの場合:ボツリヌス菌という食中毒の原因菌が繁殖します
一方、消毒済の瓶で保存すると、保存期間が延びるので慌てて消費する必要がなくなります。
どのくらいの差が出るのかを、ハーブオイルの保存期間を例にして比較してみましょう。
ハーブオイルの保存期間の比較
・瓶の消毒なし:冷蔵で3~4日
・瓶の消毒あり:常温で半年まで
煮沸消毒をしたかどうかで、かなりの差が出ます。たったひと手間でここまでの差が出るのなら、煮沸消毒はやっておいて損はありませんね。
煮沸消毒の注意点
さいごに、煮沸消毒の注意点をご紹介します。
滅菌効果が出るのは沸騰させてから10分後
国立家庭用食品保存センターによると、滅菌効果を出すためには、瓶を沸騰したお湯に10分以上ひたしておく必要があるとのことです。(※1)
とはいえ、すぐに消費しきれる量であれば、5分で煮沸を終了させる方も多いようです。
煮沸を何分にするかは、個々の判断で選択していただければと思います。
(※1)National Center for Home Food Preservation(国立家庭用食品保存センター)の情報を参考にしました。
瓶は急激な温度変化で割れる
煮沸消毒を行うときには、瓶の急激な温度変化にご注意ください。
瓶は沸騰したお湯に入れるのではなく、必ず水の状態から入れるようにしましょう。
煮沸できる素材
煮沸消毒は、すべての素材に行える方法ではありません。
・ガラスは、耐熱性のものでないと割れます。薄い瓶も注意が必要です。
・プラスチックは高温で溶けるので、煮沸消毒はおすすめしません。
・ゴムは煮沸で劣化します。劣化を少しでも抑えるために、煮沸は2~3分で切り上げることをおすすめします。
・金属は煮沸ができます。ただし、保存瓶の多くは、ふたの内側にゴム製の素材が付いていたり、塗料が塗ってあります。その場合には、煮沸を2~3分で切り上げることをおすすめします。
煮沸消毒をすればギフトにも使える
正しい方法で煮沸消毒をすれば、あなたが作ったハーブシロップやハーブオイルをラッピングしてギフトにすることができます。
おすそわけもいいですね。
安全にハーブクラフトを楽しむためにも、ぜひ煮沸消毒を実践してみてくださいね。