アニスの効能6つ|科学的効果 注意点 簡単レシピ
お菓子の材料やパン作りに用いられているアニス。
実は、栄養価の高いスーパーフードなんです。
この記事では、アニスを食べると得られる効能と栄養素、アニスを使った簡単ハーブレシピなどをご紹介します。
目次
1 アニスとは?
2 アニスは栄養豊富なスーパーフード
3 アニスの効能6つ
4 科学から見たアニスの効能
5 アニスの摂取で注意することは?
6 アニスの味・使い方・適量は?
7 アニスのおすすめ簡単レシピ
8 おわりに
アニスとは?
アニスは、香りづけに利用されているスパイスハーブです。料理やお菓子に使われおり、人気急上昇中のスパイスです。
「アニス」というハーブは混乱を招くハーブでもあります。
なぜなら、他にも「アニス」と呼ばれるハーブがあるからです。しかしそれらのハーブはアニスとは全く別のハーブですので、混同しないように注意しましょう。
アニスと混同しやすいハーブ
・アニス/アニスシード(セリ科)
…今回ご紹介するスパイスハーブです
・アニスヒソップ(シソ科)
…紫の花が可愛らしいミントの仲間です
・スターアニス(シキミ科)
…「八角」とも呼ばれる中華料理などに使われるスパイスです
アニスは栄養豊富なスーパーフード
アニスを摂ることの利点と言えばやはり、その栄養の豊富さにあります。
下の表は、USDAというアメリカの農務省のサイトで調べた栄養素です。
栄養素だけでは分かりづらいと思うので、アーモンドと比較してみました。アニスはアーモンドと比べてミネラル(カルシウムと鉄分)や食物繊維が多いのがお分かりになると思います(表内の太字部分を参照)。
100gあたり | アニスシード | アーモンド |
カロリー(kcal) | 1141 | 613 |
たんぱく質(g) | 17.6 | 19.36 |
食物繊維(g) | 14.6 | 9.7 |
カルシウム(ml) | 646 | 258 |
鉄分(ml) | 36.96 | 3.48 |
マグネシウム(ml) | 170 | – |
カリウム(ml) | 1141 | – |
※「-」の部分はUSDAの成分表に記載がなかったものです。
アーモンドと比べるとアニスの高カロリーに見えますが、実際のところは、アニスは低カロリーで高い栄養価のある理想の食品だとされています。
アニスの摂取量は1日小さじ3杯までが推奨されています。実際の栄養価は表よりも低くなるという点にご注意ください。
アニスの効能6つ
ここからは、アニスのハーブとしての効能を見ていきましょう。
アニスの効能6つ
1 消化を促進する
2 女性ホルモンに似た働きをする
3 利尿作用
4 痰を取り除く作用
5 消臭作用
6 けいれんを鎮める作用
1 消化を促進する
アニスには消化を促す作用があるため、食べ過ぎた後に摂ると胃もたれの予防になります。食後のだるさを緩和したり、腸内にたまったガスの排出を助けてくれたりします。
食物繊維が豊富なので、便秘の改善効果も期待できます。
2 女性ホルモンに似た働きをする
アニスは「エストロゲン」という女性ホルモンと似た働きをすることで知られています。
エストロゲンは、40歳を過ぎる頃に分泌量が減少していきます。そのことが更年期障害を引き起こす要因とされているため、アニスを摂取することで更年期障害を軽減したり、ホルモンバランスを整えたりする効能が期待できます。
3 利尿作用
「利尿作用」とは、尿を出やすくする作用のことです。
不要な水分をため込んでしまう「むくみ」や「残尿感」の改善が期待できます。
4 痰を取り除く作用
鼻の奥や気管に詰まった粘液は、呼吸をさまたげてしまったり、炎症の原因になったりします。
アニスには痰などの粘液を動かして排出を助け、呼吸を楽にする作用があります。風邪予防にも効果的です。
5 消臭作用
アニスは口臭予防の効果でも知られています。食後にアニスティーを飲むと、にんにくなどの口臭を抑えられるとされています。
6 けいれんを鎮める作用
「けいれん」と言われてもあまりピンと来ないと思います。しかし、けいれんは実は、生理痛やぜんそく、咳、気管支炎と深い関係があります。
けいれんをしずめる作用のあるアニスを定期的に摂取することで、これらの不調の改善が期待できます。
アニスがおすすめの不調
・胃もたれ、便秘
・更年期障害
・むくみ、残尿感
・風邪の初期症状
・口臭
・生理痛、ぜんそく、咳、気管支炎
科学から見たアニスの効能
科学的に裏付けられたアニスの効能をまとめてみました。なお、以下の研究はまだまだ他の条件での検証が必要とされているものなので、あくまで参考程度にご覧ください。
アニスの主要成分
アニスにはクマリンや精油成分が含まれています。クマリンは血液サラサラ効果のある有効成分です。精油成分はアニスの多くの効能の元となっている重要な成分です。
抗酸化作用
研究1
アニスを水抽出物と、アニスのエタノール抽出物を用いた研究では、両者に抗酸化作用があることが分かりました。さらに、水抽出物の方が、エタノール抽出物のアニスよりも強い抗酸化能力があることが分かりました。[1]
アニスティーのように水でアニスの成分を引き出す方法が、アニスの有効成分を効率的に摂取する方法であることが分かったということです。
抗うつ作用
研究2
マウスを使った2016年の研究では、アニスの種子が強い抗うつ効果を示しました。うつ病の処方薬と同様の効果があり、将来的にうつ病の治療に応用できる可能性があると結論付けています。[2]
アニスには、うつ病を改善する効果が期待されています。医療薬ではなく、アニスのような自然薬で病気を緩和できれば、体への負担を減らせる可能性があります。今後の研究に期待ですね。
更年期障害
研究3
ほてりのある閉経後の女性72人の被験者に対して行われた研究では、1日3回アニスの成分を含むカプセルを服用したところ、ほてりの頻度の減少と、症状の軽減が見られました。[3]
アニスは女性ホルモンと似た働きをすることが明らかになっています。エストロゲンの減少が見られる40代以降の女性におすすめです。
アニスの摂取で注意することは?
妊娠中・授乳中の薬用利用は避けましょう。(ただし食用として摂取する分には安全です。)
乳幼児への使用には注意が必要です。
乳腺炎患者、乳がん患者は使用を避けてください。
アニスにはホルモン様作用があるため、妊娠中や授乳中の薬用使用は避けるのが安全です。また、ホルモン治療をされている方もアニスの摂取を避けてください。
他の注意点としては、アニスを摂取しても不調を改善できない可能性があるということです。ハーブの効能は、体質や食生活、自然治癒力の強さが関係しています。
まずは食生活を整えることから始めると、アニスの効能が効きやすくなることもあるようです。
アニスの味・使い方・適量は?
アニスの味と香り
種の部分(アニスシード)はややスパイシーで、甘い風味がします。茎の部分はセロリに食感が似ています。
料理での使い方
アニスは、お菓子やパン、ソースやカレーなどの香辛料として使われます。
葉は野菜として生で刻んでサラダにしたり、卵料理や鶏料理、クリームシチューやチーズを使った料理に使ったりします。
茎は、同じグループに属するセロリとよく似た食感を持ち、スープやシチューの具として利用されます。
ハーブ薬としての使い方
アニスを薬用で使うならハーブティーがおすすめです。アニスのハーブティーは、食後のお茶として飲むと消化促進の効果が期待できます。口臭予防のうがい薬としても利用できます。
アニスティーの作り方
材料(1杯あたり)
水 …1カップ
アニスシード…小さじ1
作り方
アニスシードをつぶしてから鍋に入れ、水を加えます。5~10分弱火で沸騰させたらアニスをこしてできあがりです。適量は1日3杯までです。
アニスは硬いハーブのため、緑茶のようにただ蒸らしただけでは有効成分が引き出せません。煮込む必要があるので、3~4杯分をまとめて作ると光熱費がお得です。(残ったお茶は冷蔵庫で4~5日保存できます)
アニスの1日の適量
アニスは1日小さじ3(=15ml・大さじ1)までの摂取が安全とされています。
アニスのおすすめ簡単レシピ
アニスのレシピでおすすめなのは、風邪予防のためのスパイスハーブティーです。
アニスとシナモン、ジンジャーなどのスパイスをミックスすると、体の芯からポカポカと温まります。
アニスのスパイスティーの作り方
材料(3杯分)
・水 … 3カップ
・アニスシード … 大さじ1
・シナモンスティック … 1本
・しょうが(スライス)… 小さじ1
・はちみつ … 大さじ1
作り方
アニスシードはつぶしておきます。はちみつ以外のすべての材料を小鍋に入れて弱火で10分間煮込みます。材料をこしてカップに注ぎ、はちみつを混ぜたらできあがり。
完成後のお茶に、紅茶のティーバッグを2~3分ほど浸してみると、さらに飲みやすくなります。
おわりに
アニスシードは日本ではまだまだ知名度が低いですが、健康志向の強い欧米では大人気のハーブです。
栄養価が高く、料理に使ってもおいしいハーブなので、ぜひ積極的に毎日の生活に取り入れてみてくださいね。